
コロナ禍により経営の厳しくなった個人経営、中小主体の塾経営者の皆さん、いまこそ経費削減にチャレンジしてみませんか?
この記事はオフィスのコスト削減に役立つアイデアをご紹介。
また、注意すべきポイントも合わせて解説します。
経費が増える要因
国家予算からコロナから企業救済支援のため補助金が使われるなか倒産する企業も増えています。
これは売上が伸び悩む中、経費が占める割合が増えてしまうから。
特に、対面サービスを売りとしていた学習塾や英会話スクールなどではオンラインスクールに押されるものもありました。
企業経営のネックは利益を上げること。
利益は売上から経費を除いた部分です。
ですから売上が上がらないまま経費が増えたり、売上が落ちれば利益は減ります。
つまり、昨今の経費増加は売上が上がらず利益目標を確保しようとすると、使える経費が少ないなか時代が多様化に合わせるために改革していく過渡期として経費がかさむことでオーバーした状態。
経費削減は無駄をなくして効率的にすることと利益を増やすための2軸のために行われます。
固定費と流動費
経費を構成する費用として固定費と流動費があります。
固定費は主に賃料や光熱費、給与や雑費など主に売上の増減と関係なくあるもの。
逆に流動費は仕入れ予算など売上比例で増加するものを指します。
企業規模によっては流動費は別枠と考える場合もありますが、今回は総括して考えます。
経済産業省の調査では中小企業は大企業よりも売上に占める販売費および一般管理費(経費)が多いことから経費の最適化は必要な側面ですね。
経費削減の基本的な考え方
経費の中でも削減しやすいのは固定費です。
時価に影響されるリスクが少なく、月額定額で予測できるところがポイント。
また経費削減のために基本スタイルとして気を付けるべきなのが
・現状を把握する
・課題を明らかにする
・削れるところを考える
・目標設定
です。
間接的に売上に関わるコストまで削らないために現状を把握しそこから解決策を考え目標を全体に周知。
社員一人一人の意識も含めて経費カットを目指すことがキーとなります。
経費削減のアイデア集
とくに有形商材をメインで扱うわけではない学習塾や英会話スクール、有形商材を仕入れる必要のないインターネット広告企業では経費=固定費の恐れが。
ここではオフィスで削減できる固定費となっている部分のコスト削減策とコストがかかっている部分についてを解説します。
まずはコストがかかっている部分から。
・人件費(給与、福利厚生、研修費、移動費用含む)
・光熱費
・ITコスト
・オフィス消耗品費用
・オフィス賃料
人件費(給与、福利厚生、研修費、移動費用含む)
会計上は区分されますが、ここでは人件費は一人の社員を雇用するために必要な環境も含めた費用とします。
人件費の課題は以下2つです。
・費用対効果の効果が出る段階が遅れてくること
・労働力に影響しやすい点でありながら経費に占める割合が多いこと
解決策としてアウトソーシングの利用や業務プロセスのマニュアル化です。
特に繁閑に差がある場合、必要な時期のみ人員を確保して給与や福利厚生を含めた費用を削減することができます。
ただし、希望のレベルの人材かと言われれば必ずしもそうではないので研修・育成も行うことを前提となります。
また、業務プロセスをマニュアル化することで平均的な労働力を得ることに。
ただし、営業業務そのものに関してはマニュアル対応では不足があるため必ずしも人件費カットで効果的とは言えない側面があります。
企業規模と人件費にかける割合が事業によって異なりますので効果はまちまちですが光熱費削減効果程度から賃料削減効果の中程度の効果が売上を落とさない最大レベルではないでしょうか。
光熱費
光熱費はこの場合電気、水道のことです。
課題としては製造や飲食では水道代と電気代、サービスを提供する事業では電気代がネック。
特に電気代はオフィスの広さと利用時間の長さで増えるので、コストがかかり気味です。
解決策としては次の4つ。
・オフィス家電は省エネなものを選ぶ
・照明は利用時間が長いならLED検討
・使わないコンセントは抜く
・コピー機、パソコンを使わないときはスリープ
特にチェーン型個別塾なら1教室ごとに取り付けられたエアコンは家庭用と同タイプ。
ですから、省エネエアコンを探したり、使わない時間が短い場合はつけっぱなしなど家庭と同じように考えられるわけですね。
また個人レベルで取り組める節電なら使わない部屋はこまめに電気を消すことや使わない家電のコンセントを抜く、使っていない家電のスリープが挙げられます。
余談ですが小売業や宿泊業など電気代がよくかかる事業形態では売上に占める割合が1~4%にもなるとのこと。
削減効果は中程度と言えます。
ITコスト
コロナに伴い拡大したコストの一つ。
主にパソコン、タブレットなどのハードウェア本体とインターネット環境を整えるセキュリティやツールを含めたソフトウェア系の費用、通信費を総称します。
課題としては通信費と設備充実のための費用捻出。
解決策として以下2つが挙がります。
・リース利用
・補助金利用
複数台のパソコンやコピー機など大型オフィス機器はリースが利用できます。
メリットとしては出費を一定化すること。
購入の場合と異なり一時期的に経費が挙がったのち月当たりの費用として減価償却していく必要がないので古くなり変えることに抵抗が小さくなります。
また、小規模事業者持続化補助金制度やIT補助金にてソフトウェア部分の費用補助が出る場合も。
さらに加速化するテレワークの流れのために家庭内での環境確保として経費を確保している事例では厚生労働省の支援するテレワーク助成金(正式名は人材支援等助成金 テレワークコース)が使える可能性があります。
また、削減効果もかなり大きめ。
一般社団法人 日本情報システムユーザー協会「企業IT動向調査2015」いわくかかる費用はなんと売上の1%に相当する額ですので。
オフィス消耗品費用
オフィス消耗品と言えばコピー紙やホチキス、インク、ペン、クリアファイルが代表格です。
繁閑で利用量が違い、1つずつは少額のため予定以上の量が必要となると思わぬ出費の原因に。
課題としては利用量が繁閑で差がある、管理が大変な点。
解決策として分散で発注していたものを一ヶ所にまとめ一括購入、オフィス全体で共同利用と不必要なものは作らないです。
最安値での発注のため分散発注している可能性もありますが、管理が煩雑に。
一ヶ所にまとめることで相手側はまとめ割を提供してくれる可能性があるため要チェック項目ですね。
また、不必要な印刷を減らしペーパーレス化、裏紙利用で紙部分が占める費用カットが可能に。
特に、経理部門や学習塾など対人サービスでは保存用資料も紙であることがあり、必ずしも紙である必要があるか再検討が必要です。
ただし経費カット効果は量は多いものの、各費用は小さいため他と比べると小さめではあります。
オフィス賃料
オフィスのコストとしては共益費+賃料です。
立地と専有面積、建物によって変化し一般的な企業では粗利の10-20%を占めることも。
解決策として以下3つです。
・価格交渉
・専有面積縮小
・移転
特に競争率の少ないテナントオフィスだと価格交渉の可能性も。
また、商業モールタイプのオフィスであれば専有面積を縮小しテレワークや外注によって労働力を確保することが可能です。
ただし、オフィスでの労働力の売上を創出するほどの効果があるかは事業によります。
効果はITコストカットや光熱費よりもおおきめです。
オフィスの経費削減注意すべきポイント
・経費カットは手段で目標ではない
・長続きする経費削減計画を
経費カットは手段で目標ではない
経費カットを目標にしてはいけません。
経費削減はそもそも売上が上がらないままでも利益を出すための取り組み。
つまり、売上上昇中ならより利益を出すための対策なのです。
過度の経費カットである人件費カットや仕入れ先の変更で質を下げるようなコストカットは信用と労働力ダウンに関わるので注意が必要となります。
長続きする経費削減計画を
業界・業種によってカットしやすい経費はさまざま。
高すぎる目標は従業員のモチベーション低下につながりますから経費削減案としては不向きです。
売上に響くことのないかつ従業員のモチベーションが落ちて売上に響くことない環境を長期的に続けられる計画をたてる必要がありますね。
実際に続けられる計画でコストを減らしつつ売上に繋げた例としてはセブンアイHD(光熱費関連)やダイキン(研修関連)があります。
おまけ コロナで進む経費増
コロナ禍最盛期、大都市だけでなく地方都市の地域でもテレワークの流れがありました。
しかし、業務に十分なコミュニケーションがとれず、仕事とプライベートがわけづらい一面も。
緊急事態でも環境のためテレワークは促進されましたが、結果的には地方の私塾など小さいところでは定着せず費用のみかかっていました。
そのため今後も続くコロナや今後起こりうるかもしれない天災に備えるためには平時からの運用で試験導入を行い、その上で経費削減を考えねばなりません。
長い目で効果的な方法を
経費削減と一口言っても切り口を変えてみると売上を損ねるものとただ無駄な経費カットがありました。
計画は長続きできるものでなければ頓挫しやすく、ちょっとずつ従業員が慣れる環境がなければ費用だけかかる費用ロストを生みます。
長期的な計画を立て、働き手全員が意識出来る環境が経費削減するために必要な最後の要であることは間違いないでしょう。