
固定経費の中でも毎年必要のある項目と言えば印刷に関するものではないでしょうか?
とくに機密性を重視する企業やIT化の遅れが目立つ個人経営企業では収支報告や退勤処理など紙で行うと言ったことを行うところも少なくありません。
ただ、コピーにかかるお金も積み重なればかなりの額に。
他にも、雑費のような形で経費を削る存在はそこかしこに。
そこで、今回はお手軽にはじめられる節約術をご紹介。
また、そのほか削れる経費のアイデアについても解説します。
会社経営者が悩む経費のかさばり
大手やチェーン型運営でもマニュアルがしっかりしているところならば別ですが、未だに中小、個人経営クラスの企業では経費が売上を食い気味な状態が深刻です。
特に、個人経営だと仕事のための商材仕入れ費用と領収計算用の用紙、コピー紙など直接は商売と関わる範囲ではない費用を完全に分けているとは言い難い状況。
そのため、経費がどんなジャンルで多いかはわかっていてもどこでどれぐらい減らせばいいかは考えにくくなります。
特に、塾はこの典型で資料を印刷、保存する際、紙媒体で行うため知らず知らずに無駄が発生。
対学習塾の場合、生徒が使うがすぐには使わない考査の問題もコピーしがちです。
これは、特にコロナで対人接触が疎まれる中だと経費のかさばりは死活問題。
そのため、経費削減が重要となります。
業務の重要度でコスト削減
経費と一口に言っても固定費と変動費に分けることが出来ます。
固定費は売上に関係なくかかる費用で家賃などが典型的。
一方、変動費は売上比例な費用です。
固定費に分類されるものは福利厚生、減価償却、給与、旅費、接待、研修費用、宣伝費用など
変動費は材料代や外注費用、ガソリン代などにあたります。
変動費は売上が上がればどうしても抑えられず、取引先やまとめ買いくらいしか見直しのしようがありません。
ですので、経費削減は固定費から検討しましょう。
まず、固定費の人件費について変動費に変えることを想定します。
特に、繁閑の差が激しい中小企業、個人経営向けでいわゆる派遣社員や外注に頼ることで日々の人件費を抑える役割を果たします。
この場合、質を維持するために研修費用が別途かかります。
また、直接顧客の満足度には関係ない部分の見直しが挙げられ、オフィス移転で賃料を下げる案もあります。
光熱費削減なら温度設定を緩やかなものにする、グリーンカーテンの利用、扇風機との併用で冷暖房器具の使用を控える、クールビズ、LED電球にする、電気料金の安いところと契約などなどすでに実行されているものもあるかも知れませんが、こういったちょっとした費用削減が効果的です。
余談ですが、セブンイレブンの成功は太陽光設置とLED、電気料金の見直しで27%コストカットした例があります。
経費削減を疎かにするデメリット
経費を削らないと損な理由は2つ。
・経費をへらす労力と売上を上げる労力なら経費を減らす労力の方が効果は高い
・無駄を削れば企業経営を健全化出来る
特に、経費削減は売上増加よりも難易度は低い場合が多く、実行にすぐに移せる点からもやらないと損になります。
固定費を念頭に具体的に考えてみましょう。
A社は売上100万、経費50万とします。
売上―経費=営業利益ですから、営業利益率は50%、営業利益は50万となります。
もし、売上はそのまま経費を10%カット出来ると経費は45万。
売上―経費=営業利益ですから、営業利益率は55%、営業利益は55万となります。
もし、経費をそのまま営業利益を10%あげようとすると営業利益は55万。
売上=経費+営業利益ですから、売上は105万必要になります。
もちろん、100万という経営を考えるときには少額すぎる額ですし、営業利益率が大げさですから、大差ないように感じます。
一方、もしこの10倍、100倍の売上や経費を考えたとき、誤差は大きくなります。
また、実行しやすいポイントとして売上増加は自社だけでなく企業同士のやり取りに変革が必要な一方、経費削減は自社内で実行可能。
新しい事業に使える元手を得やすいメリットがあるともいえます。
とはいえ、経費を使ったことで売上増収が見込めない、つまりコスパが悪いと経営に差し障ります。
いわゆる、負のループで売上に届かないならば営業利益率を計画通りにするために経費を削る方法を取るように。
この結果、経費の中でも人件費や交通費などが削られていきます。
ただ、交通費は合理性の結果、グリーン車から普通車くらいなら社員も納得するかも知れませんが、交通費カット、人件費カットと社員に負担になるような経費削減は働き手のモチベーションを落とすので労働力の低下を招くだけに。
ですから、さじ加減が重要といえます。
お手軽な経費削減4ポイント
お手軽な経費削減ポイントを4つの視点からご紹介します。
・ペーパーレス化
・固定的な費用のコストカット
・人件費の見直し
・オフィス文具やオフィス機器の見直し
それぞれ次章で解説します。
ペーパーレス化
収支報告や退勤管理、事務連絡などはペーパーレスできるものの筆頭です。
この他、学習塾なら保存用資料のスキャン写真で保存、名簿管理などが挙げられるでしょう。
この際、クラウド管理が中心としますが、規模によって提供価格はさまざま。
事業規模拡大を予測して増減がやりやすいものでかつ安価なプランを探すべきだといえますね。
固定的な費用のコストカット
固定的費用とは例えば、手数料や賃料、光熱費など固定費に計上されるものの中でもとくに常に意識する必要のあるものを指すことにします。
手数料については、取引先や従業員への給与振込のための振込手数料のことです。
改善案としては都市銀行や地方銀行などからオンライン銀行を用いて振替手数料を抑えることが考えられますが、現状実店舗を持つ個人経営の企業では信用問題から懸念があると考えられます。
ですから、難易度は高め。
それよりも賃料や光熱費を抑えたほうが簡単ですね。
賃料では社員のモチベーションが落ち、売上に響くような環境でないことを前提に限界費用を算出。
企業が掲げる福利厚生ポイントを満たした上で、最小価格の賃料ですむいわゆる社員ファーストなオフィスで経費を削減することで最も費用対効果が高くなります。
光熱費については水道・電気料金の見直し、節水節電対策の実践など小さなエコ活動と呼ばれる活動を実践することで経費削減につながり、大手チェーンでも成果があるんだとか。
人件費の見直し
流動的費用にしやすいのが人件費です。
マニュアルチックにできる仕事や反復の多い仕事は非正規雇用(アルバイト、パート)で賄う考え方。
デメリットとしては、労働力側に時間的拘束をある程度自由さがあることと責任問題については労働力側に求めることが出来ないことです。
正社員であれば、罷免や減給は可能ですが、アルバイトなど非正規は多くの場合正社員の受ける福利厚生を受けられません。
その分、一労働力ではあるものの責任の大きさは小さくなければならず、決済や精算はアルバイト任せに出来ない事案だったりします。
そのため、事業を行うために必要な人員は何人でどれくらいの難易度が予定されるかに分解して考え、人員を確保しなくてはいけません。
オフィス文具やオフィス機器の見直し
オフィス文具といえば、ボールペン、のり、ハサミ、カッター、ホッチキスなど様々存在します。
自身が仕事に使用する分を自己負担で揃えるならいざしらず、個人に合わせてオフィス文具を揃えることはまず無いのではないでしょうか?
事務作業に使う消耗品は量が必要です。
そのため、ロット単位の購入でまとめ買いがお得。
特に、私塾などボールペン使用量が多いところでは箱単位で購入したほうがコストは抑えやすいでしょう。
また、個人経営ならホームセンターでまとめ買いで済ませるパターンもあるかも知れませんが、ガソリンを使ってまで行くのはちょっと問題。
小ロット単位でも通販で済ませたほうが安い場合があるため、一度通販サイトのまとめページを確認したほうがよいでしょう。
とくに、定期的に必要な場合は分散発注をやめること、価格交渉などがキーに。
クリアファイルなど定期的に必要なものでどれくらい使っているかわからなくなりそうなものも経費削減のために把握が必要です。
他にも、特に重要でなければ紙は裏紙を使う、インクのトナーはリサイクルモノ、ボールペンは替芯と言った風に環境に配慮しつつも節約する工夫をこらすことで社会貢献への一歩とすることが出来ます。
おまけ 経費削減のアイデア集
・出張などの交通費
・備品の費用
・仕事を効率的にするための本媒体の資料
経費には様々なものが含まれますが、典型的に削りやすい予算は上記になります。
とくに、経営学書の多くは交通費について述べているものも。
例えば、飛行機を使う出張でエコノミー席を使うこととビジネス席を使うことでは価格が異なります。
仕事ができる最低限のスペックがあればいいのだからわざわざ高い席である必要はないとここで経費を削る、いわゆるちょっとした贅沢部分の経費を削っていくことをメインに。
いまならweb会議も盛んですからそちらにシフトしていくというのも手ではあります。
また、資料系費用削減に一般書籍なら図書館を利用するなど、緊急性、重要性の低いものを公共施設の利用で賄うという手もあります。
まとめ
経費と一口に言っても流動的なものと固定的な費用があり、固定費は経費の削減で最もやりやすい範囲でした。
特に光熱費は家庭でも実践するような簡単な対策+契約する電気、水道事業者の見直しでコストカットがしやすめ。
ほかにも、消耗品のうち頻度の多いものはロットの単位を増やしまとめて購入、在庫管理の見直し、機器類はリースですむものはないか検討することがキーでした。
費用を抑えつつも、売上をあげるために出来る最善策を行うこと、それが費用削減の真髄だと言えるようですね。